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畦道
幼い頃
母親に手を引かれて
歩いていた道がある
雨の日も
風の日も
細い一本道を
母親に支えられながら
フッと気がつくと
いつの間にか
その道を1人で歩いていた
周りの景色も変わり
石につまずいても
疲れて転んでも
細い一本道を
1人で歩いていた
年老いた母親の手を引いて
その道を歩きたかった
幼い頃に支えてくれたように
今度は自分が支えてやりたかった
もう母親はいなくなった
その道も消えかけている
たくさんの思い出を
感謝の気持ちと共に
心に刻んだ畦道みたいに