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6月30日 木曜日
「しゃぼん玉」という詩に、意外と苦労させられた。色紙を2枚も無駄にしてしまった。自分が生み出した詩に、自分が苦しめられるとは……。でも、あたし、負けなかったわ。何とか書いてみせたわ。えらいでしょ、ウフッ。
がんばった自分に、ごほうび。今から「米のジュース」を飲むところ。酔っぱらった方が、きれいに書けたりして。


6月29日 水曜日
いよいいよ本番、スタート。まずは1枚を仕上げた。折り紙を何かの形に切って、色紙に貼ってもらった。俺が死んだ後に、価値が出るかも。まだ日は、たっぷりある。じっくりやるか。
素粒子の勉強をしている。宇宙空間でも、まったくの真空状態は存在しないそうだ。どんな空間にも何かの原子や分子があるようだ。宇宙空間を膨張させているのは、実は素粒子なんじゃないか……という。素粒子のメカニズムって、面白いものがある。


6月28日 火曜日
このごろ職員のイジメに合っている。先日は洗濯場で水を浴びせられ、今日は風呂場で水を浴びせられた。しかも、シャワーで……。イジメだ。クソッ、俺が何したってんだ。あのブタバカめ。夜勤の時に、夜中に寮母室の前に尿をバラまいたろか。おーっと、タブーな発言してしまった。風呂場で水をかけられたのって、この施設に入って初体験だった。冬場でなくて、よかった。
新しいペンと、ハンコがそろった。明日から本番にかかるか。その前に、今、コロッケパンを食ったところ。まずは腹ごしらえ。


6月27日 月曜日
そろそろ色紙に本番しようと思っているのだが、肝心のペンがなくて。練習用に使っていたペンはインクがなくなったようだ。似たようなペンを頼むことにした。和紙でできた折り紙も用意してある。ハンコも頼むことにしてある。テスト用に作った1枚を、おばさん職員に見せたら、「何でもないものでも額に入れると立派に見える」と笑われた。自分でも納得していた俺って、いったい……。本当に「何でもないもの」で終わってしまうんだろうか。去年以上に飛躍できるのかな?
今、何気なくベットの枕元の壁に目をやったら、何かうごめくものが……。コールして職員が来たのだが、すぐ出て行ってしまった。2度目のコールで職員が来てくれて、ようやく事態を把握してくれた。壁にうごめくものを撤去してくれた。あれは小さいムカデ? 久々に夜ばいされてしまった。どうせなら、女に夜ばいされてぇな。


6月26日 日曜日
高校を卒業するまで、普通のノートに文字を書いて勉強していた。当時は和文タイプライターというのが主流だった。直接、紙に文字を打ち込んでいくのだが、文字を間違えると「修正液」というので消して、その上からまた文字を打ち直さないといけなかった。面倒な作業だった。手で書いた方が楽だった。俺は文字を書けない……と思われていたようだ。今でも洋服などに自分で名前を書いていることを、誰も知らなかったようだ。かなしいことだ。


6月25日 土曜日
夕食を終えて、おしぼりを洗濯場まで持って行った。おしぼりを洗う洗濯機が、ちょっと遠くに置かれてあった。あれでは手が届かず、どうしたものかと思っていたら、ちょうど夜勤の職員が来て、おしぼりを受け取ってくれた。おしぼりを洗っていた洗濯機は、すすぎに入っていた。その職員が水を強めようと蛇口をひねった瞬間、洗濯機につなげてあったホースが外れ、辺り一面、水びたし。俺もちょっと犠牲になった。濡れた部分を乾かそうと、外をウロウロしていたら、玄関の自動ドアを閉められてしまった。俺が何したっていうんだ。それにしても、笑いが止まらなかった出来事だった。


6月24日 金曜日
昨夜は焼き鳥を食いながら、「麦のジュース」を飲んだ。酔っぱらったけど、尿はちゃんとトイレへ捨てに行った。
朝食を終えてから、午前中いっぱい「ひまわり館」の前で、ずっとラジオを聞いていた。入浴日は検温・血圧測定しなければならず、職員に呼ばれているのに気が付かず、ジッとしていたら、職員が近寄って来て怒られてしまった。なんも、あんな青筋立てんでもええやねん。急に関西弁になってしもうた。検温・血圧測定なんぞ、あまり俺には意味がないように思えるのだが……。


6月23日 木曜日
今朝4時ごろだった。同室の奴にテレビを高々とかけられて、起こされた。思わずコールしてしまった。
リハーサルのつもりで、色紙に詩を書いて、額に入れてもらった。なんだか、いい感じ。インターネットのオークションで、チンパンジーが描いた絵が300万円で売れたというが、俺の詩は、はたしてそれ以上なのか、以下なのか。チンパンジーに負けたら、「頭悪いんじゃないの?」どころじゃないんじゃないの?


6月22日 水曜日
水戸養護学校で同級生だった奴が、7月1日に入所して来るようだ。俺と同室になるという。奴とは小学生の時から高校を卒業するまで、ずっと一緒だった。高校を卒業して以来、会う機会がなかった。21年ぶりの再会、楽しみだ。運命の絆みたいなものを感じるなぁ。赤い糸じゃないのが残念だけど……。しかし、授産施設にいたほどの奴が、どうしてこんな何もない施設を選んだんだろうか。


6月21日 火曜日
昨夜も「米のジュース」を飲んだ。11時ごろ、尿意を感じて、尿器に用を足した。酔っぱらっていたせいもあってか、尿を捨てにトイレまで行くのが面倒だったので、部屋の窓を開けて、そこから尿器の中身を……。俺って、いったい……。草が成長でもしたら、どうしよう。お月様だけは見ていた……。
ワープロやパソコンってのは、確かに早くて、きれいで、便利だ。でも、本当に気持ちを伝えたかったら、手書きの方が、あたたかみがあっていい。やっぱり肝心なのはハート……だと思う。


6月20日 月曜日
なぜか昨夜は眠れなかった。何を興奮したんだろう? ちょうどウトウトしかけた時に、地震が起きた。けっこう大きかったように感じたのだが……。それでまた目が冴えてしまい、結局は3時近くまで眠れなかった。体が夜泣きでもしていたのかな?
1日中、部屋にこもって自筆の練習していた。気持ちを込めて、ていねいに書こうと思って。邪心を捨てて……。


6月19日 日曜日
今朝方、また夢を見た。若い女の職員と、明るく笑い合いながら酒を飲んでいる夢。どういうわけか俺がタキシード、その職員はドレスを着ていた。いいムードだったなぁ。目が覚めた時、また枕を抱いていて、ズボンとパンツは足元の方にあり、ナニはモッコリしていた。6時過ぎていたのだが、もう部屋の電気が付けられていた。ふしだらな姿を見られちゃったかも。しかし、俺がタキシードなんか……着る機会があるんだろうか。


6月18日 土曜日
昨夜も「米のジュース」を飲んだ後、「餅揚げ」というお菓子を食った。うまいお菓子だった。
施設内での将棋・五目並べ・オセロ大会だった。五目並べとオセロに参入。五目並べでは1回戦で敗北した。気持ちが落ち着いたのか、オセロでは決勝戦でも冷静だった。優勝できた。勝ち負けはどうでも、楽しめればいい……いつもそう思いながらやっているから。しかし、クラブのHPに載せる写真を撮り忘れてしまった俺って、いったい……。


6月17日 金曜日
昨夜は「米のジュース」を飲んだ後、尿器に用を足して、その中身を捨てに行った帰りに、当直だった職員と遭遇。ちょっと会話したのだが、どういうわけか俺が酔っぱらっていることに気が付いたようだった。女のカンは恐ろしい。部屋に戻ると、もう電気は消されていた。マシーンから下りて、パソコンを起動。久々にオンラインゲームのオセロを楽しんだ。明日の大会は、どうなることやら。


6月16日 木曜日
マシーンのスピードアップはできないものか……という会話をした。今は時速4・5キロらしい。遅く感じる。自力で走っていた頃の方が早かった。せめて6キロぐらいはほしい。車体自体を重くしないと、横に倒れてしまう。日本では改造は、ちょっと無理だろうという結論になった。外国製では時速10キロというマシーンがあるようだ。どんなものか、操縦してみたいものだ。


6月15日 水曜日
昼食前にウンコして、ズボンとパンツを上げてもらおうとコールしたのだが、職員は誰も来てくれなかった。2回、3回……コール音は止まるものの、誰も来ない。4回目を押そうと指を付けた瞬間に、ようやく来てくれた。ちょうど配膳が始まっていて、俺の存在なんか忘れられていたようだ。こんなものか……。
人間というのは邪心で生きているようなものだ。欲がなくなったら、生物と呼べなくなる。邪心もまた、その人の魅力の一つ……だと思う。


6月14日 火曜日
昨夜は久々に、パソコンでエロDVDを12時過ぎまで見ていた。本当に久々のモッコリナイトだった。どうしたことか、このごろは、あまり見たいとも思わなくなってしまった。モッコリパワー、ダウンする一方だ。
今日も浣腸してもらった。やっと出て、お腹スッキリよ。しかし、どうしてケツがつまるんだろう?


6月13日 月曜日
またケツがつまってしまったようだ。浣腸をやってもらったのだが、ぜんぜんウンコが出る気配がない。こんなことって初体験よ。いつも飲んでいる下剤と、別な下剤と、両方を飲んだ。はたしてウンコは出るんだろうか。
詩を9編、選抜した。自分がお気に入りの詩は、どうしても同じくなってしまう。まだ時間はある。じっくりやろうかと思う。


6月12日 日曜日
思えば、ちょうど1年前の今日だった。全国版の新聞社に取材されたのは。あの騒ぎは、どこへ行ってしまったんだろう? 9月の展覧会は、それ以上になるのかな? もしかしたら、「チカさんって、ステキ。あたし、あげてもいいわ」って言ってくれる女が現われる……わけねぇか。


6月11日 土曜日
そろそろ展覧会に出す詩をリストアップしろ、という。15編に減った。書く紙の材質やペンも決まった。なぜか知らないけど、ワクワクして来てしまった。9年ほど前にエッセイ集を自費出版して、出版記念パーティをやった時以来だな。作品ができてないうちに額を買ってしまったことを、ちょっとだけ後悔している俺って、いったい……。


6月10日 金曜日
朝食に出されたふりかけの、小さい袋を手で破こうとした。いつもなら何回か指でこすると破けるのだが、なぜか今朝に限ってなかなか破けなかった。15分ぐらいもがいていたのだが、だんだんイラついてきた。すぐそばに職員がいたのだが、どういうわけか頼まずに、ふりかけの袋を廊下まで持って出て、廊下を歩いていた職員に開けてもらった。わけがわからないことをやってしまった俺って、いったい……。何を遠慮したんだろう?


6月9日 木曜日
移動式のテーブルで食事するようになってから、しょうゆ、ソース、マヨネーズ、七味、わさび……などの調味料が回って来ない時がある。配膳が、いつも最後の方で、それらの調味料は片付けられてしまうようだ。職員に声をかけるのが面倒な時は、何もかけずに食べる時もある。いくら俺の存在が薄いからといったって……。こういうことって、苦情の中に入るのかな?


6月8日 水曜日
A3判の和紙を探してもらっていたのだが、見つからなかったようだ。普通のコピー用紙をもらって、試しに自筆で書いてみた。俺が書く字がおおきくなってしまい、1枚に納まるかどうか……。練習すれば、小さく書けるようになるんだろうか。試しに書いた自筆を見た女の職員が、ほしいと持って行った。いい目標ができた。


6月7日 火曜日
昨夜の11時過ぎにメールチェックしたら、件名に「チカさんなら、あげてもいいわ」と書いてあるメールが届いていた。ついに俺にも春がやってくるのね……と、暗闇の中ではしゃいだのだが、フッと思い出した。またハメられようとされているのか、と恐る恐るそのメールを開いてみたら……何も書いてなく、白紙のままだった。見ているうちに、だんだんムカついてきて、返信もせずに削除してしまった。もしかしたら、無言の告白……だったのかも。


6月6日 月曜日
ガキのころ、よく遊んでいた仮面ライダーやウルトラマンなどのソフト人形が、今は高価になっているのには、ちょっとビックリよ。1つで5万とか、高いのになると10万近くのもある。いっぱい持っていたのに、取って置けばよかった。仮面ライダーはストロンガーまで、ウルトラマンはタロウまで、全部そろっていた。キカイダーとか、ゲッターロボなどもあったっけ。当時は1つで300円ぐらいだったよな。ちなみに、初代のリカちゃん人形が20万円とか……。買う人がいるんだろうか。


6月5日 日曜日
外でマシーンを操縦しながらラジオを聞こうとすると、なぜかラジオが入らなくなる。いちいちマシーンをストップさせないと、ラジオは聞けないようだ。今日は外をブラブラしながら、ラジオに聞き入っていた。ラジオから流れる音楽で、いいムードに浸っている時に、いつもブラついているオヤジが「こんにちは」と声をかけてきやがる。1度ならまだいいが、2度も3度もきやがる。ムカつくぞ、あれは。後ろから蹴りを入れてやりたくなるのは、俺だけ?


6月4日 土曜日
首をまっすぐにしようと、用具を持って来てくれたのだが、ちょっと無理だった。首がまっすぐになったら、どんなに動きやすいことか……などと、今さらながら思った。首をいたわれといったって、どうしたらいいのよ。リラックスさせるには、少量の酒を飲むといいみたい。マジな話しよ。首の緊張もほぐれるし、ウンコも出るようになる。……といっても、飲ませてくれるわけがない。個人的に飲むしかない。


6月3日 金曜日
以前にも書いたと思うのだが、1度やってみたいものだ。この施設の全職員と全入所者の人気投票を。自分がどれだけ親しまれているかがわかっていいかも。俺なんか忘れられている存在だからな。俺らに人気があっても、しょうがない……と思う職員も、中にはいるかも。はたしてワースト1と、ベスト3は誰に選ばれるだろう? 本当に、やってみたいものだ。


6月2日 木曜日
展覧会で使う額が届いた。部屋に置けないので、倉庫に置いてもらうことにした。用紙とペンが用意でき次第、制作にかかろうと思う。しかし、フッと考えた。展覧会が終わったら、この額たちは、いったい……? 俺の汚い字なんか、誰も持って行こうなんて思わないよな。はたして価値が出て来るんだろうか。
「NHKハート展」のチラシをもらった。去年、ナメられたことを思い出し、グチャグチャに丸めて、ゴミ箱にポイッしてやった。屁でもかけてやればよかったか。


2005年6月1日 水曜日
午前中は外でニュートンを読みあさっていた。珍しくラジオも聞かず、夢中で読んでいたのだが、さすがに日差しで暑くなって、すぐ近くの木陰に入った。もう夏の日差しかな?
また新しい詩を作成・アップした。詩を書き始めた頃に、構成が戻ってしまった。失敗作だな。取り合えず、ここをクリックして、どうぞ。