7月31日 日曜日
俺はな、一昨年辺りから、この施設の名前を上げてやってんだぞ。9月の個展でも、さらにアップするかも知れないんだぞ。それを、その個展を見に行きたい人がいるから、俺は連れて行けない……だと？ 思わず、おしぼりを口にくわえて、イジイジしてしまった。俺が有名になって、金持ちになったら、札束でケツをブッ叩いてやる……はたして、そんな日は訪れるんだろうか。
7月30日 土曜日
廊下・食堂・トイレなどのワックス掛けだった。部屋で久々に「あぶない刑事｣のＤＶＤを見ていた。あと約2ヵ月後には、あぶない刑事のニューバージョンが公開されるようで、とても待ち遠しい。ＤＶＤを観賞中に上の兄が来てくれた。お盆は里帰りして、線香を上げてくる予定。やっぱり兄弟って、ありがたいものだ。
7月29日 金曜日
今朝は5時10分ごろ、便意で目が覚めた。眠い目をこすりながらベットアウトして、急いで靴下と靴を装着し、マシーンに乗り込んだ。トイレへダッシュ……したかったのだが、トイレまでの距離がとても長く感じた。ギリギリセーフだった。朝食を終えた後、外でマシーンに乗ったまま眠ってしまった。炎天下の下で、帽子もかぶらず……。
俺の顔を見て、俺が思ったことが、本当にわかるんだろうか。わかったフリしているだけかも。
7月28日 木曜日
やっと夏らしい、ギラギラの太陽がお目見えになった。こうでないと。でも、また日曜日辺りは雨とか……。高校野球の茨城県代表も決まったことだし……。
俺のＤＮＡを取り出して、俺のコピーを作ったら、そのコピーも障害者なんだろうか。フッと考えてしまった。今はあまり騒がれてないけど、臓器移植などの分野では研究が進んでいるのかも。自分のコピーがいたら、あまり気持ちいいものじゃないと思うのだが……。
7月27日 水曜日
なかなか思ったように、色紙に書き込めなくて。手がブレたり、頭が動いたりして、どうしても線が重なってしまう部分が出てくる。イラついてくるのは、修行が足りないのかも。無念無想で書いているつもりなのだが……。
女子中学生よりも、あの女の先生と交流したかった。アダルトな会話で。
7月26日 火曜日
世間では、癒し系のロボットが密かなブームらしい。アイボみたいな、ペット型のようだ。アイボもニューバージョンが出ているとか……。そのうち介護用ロボットができるかも。俺は実物大の女性ロボットがほしいな。毎晩、モッコリの相手してもらうの。しかし、機械で癒されているのか。むなしいものだ。
7月25日 月曜日
昨夜、10時の巡回が行って、廊下の電気と冷房を消された後、パソコンを起動。隣の奴を起こして、一緒にエロＤＶＤを観賞し、モッコリナイトしてしまった。その後に色紙に書き込んだものだから、もう文字が乱れちゃって……。2枚も無駄にしてしまった。また怒られそうだ。
何年かぶりでアニメの「シティーハンター」が放映されていた。ＢＳ−2だったので、映像は見られるものの、音声が途切れ途切れだった。ちょっと残念だった。
7月24日 日曜日
今朝方、また夢を見た。母親がよく作ってくれた「みその焼きおにぎり」を食っている夢。普通のおにぎりの3倍ぐらいの大きさで、真ん中に母親特製の梅干しが入ったおにぎり。目が覚めた時は、懐かしい気持ちでいっぱいだった。もう1度、食ってみたいものだ。
失敗した色紙の裏を使って、自筆の練習していたのだが、そろそろ本番に入るか。昼間やっていると、雑音・雑念が入るゆえ、夜中にやろうとしている。無念無想で書かないと……。
7月23日 土曜日
昨夜に録画した「ルパン三世」のビデオを面白くて、一気に見てしまった。あの女刑事が敵方のボスだったことを、途中からわかってしまった。パターンもまた面白味なのかも。
スイカ割り＆種飛ばし大会だった。俺ぐらいなものだろ。種飛ばしで、マイナス10センチメートルという記録を出せるのは。自分でもおかしくて、笑いが止まらなかった。
7月22日 金曜日
新しい色紙が届いた。もう失敗はできないようだ。ペンとハンコも買ってくれ、その上に色紙代まで出してくれた人がいる。ありがたいものだ。その人に「チカさんの詩で、励まされたり、勇気付けられたり、癒されたりする人がいるんだから。がんばれ」と肩を叩かれた。そこまで言われては、マジになるしかない。サポートしてくれた人にも、失礼がないように。
7月21日 木曜日
早番の職員が巡回に来て、ルームメイトのベットを起こそうと、しゃがみ込んで作業している時に、その職員の後ろから抱きついて腰を動かしてしまった。ちょうど尿器に用を足し終えた時で、ズボンは下ろしたままだった。何も知らない人が見たら……。これ、その職員が同年代だからできるんであって、若い職員を相手に同じことをやったら、ブン殴られそうだ。朝からモッコリをそそっていた俺って、いったい……。
7月20日 水曜日
茨城県に住んでいて、茨城弁の意味を知らない人は多いと思う。例えば、「ごぢゃっぺ」。「適当」だとか「いいかげん」などの意味のようだ。「かっぽる」は「いらなくなったものを捨てる｣。「よばれる」は「人から食べ物や飲み物をごちそうになる。あるいは、いただく」。俺の母親がよく使っていた「ごせぇ」は「来い、来てくれ」。この施設に入って初めて聞いた「たんか」も、この辺の方言なのかな？ 取手市では猫のことを「カイカイ」と呼ぶ所があるらしい。以上、茨城弁＆方言の勉強を終わりにすっぺ。
7月19日 火曜日
また実習生が来た。19歳の女性で、しかも1人で……。ようやくわかってくれたみたいだ、俺の好みのタイプが。しかし……この前の話しではないが、この施設に初めて来た人に、話しかけても相手にされない。言葉が通じてないらしい。言語障害の、悲しい定めよのう。この施設のムードに慣れないとダメみたい。……などと女にうつつをぬかすのは後回しだ。作品作りに、早く決着つけたいものだ。
7月18日 月曜日
ようやく梅雨明けしたようだ。夏本番。俺の季節がやって来た。喜んで外に出ようとしたら、出入り口の自動ドアが開かないじゃないのよ。熱中症がどうのこうのと書いた紙が、ドアに貼ってあった。閉じ込めやがって、この野郎。開けやがれ……などと思いながら、誰も見てないことをいいことに、マシーンで2回もドアに突っ込んでやった。よく割れなかったものだ。夕方になって、再び自動ドアの元へ行ったら、外に出ることができた。冷房の冷たい風より、自然に吹く風の方が、心地良く感じるのは、俺だけ？
7月17日 日曜日
Ａ棟男子トイレの片方、ウォッシュレットが壊れていたことを知らずに入ってしまった。仕方なく、職員にケツを拭いてもらった。久々の手の感触。たまらず、あえいでしまった。
アンケートに答えてやった。「職員同士の人間関係は、うまくいっていると思うか」という問いに、「そんなの、知らん」と答えた。「俺と職員たちとの人間関係は、うまくいっていると思うか」という問いに、「たぶん」と答えた。そんなことをアンケートして、何の参考になるんだろう？
7月16日 土曜日
昨夜は「米のジュース」を飲んで酔っぱらっていたせいか、マシーンに乗ろうとした際に、尿が入った尿器を足で蹴っ飛ばしてしまい、部屋に尿をバラまいてしまった。ちょうど巡回に来た職員に後始末してもらった。俺って、いったい……。
また素晴らしい歌声を聞かせてもらった。去年、作ってもらった曲も歌ってくれた。感動した。ホント、ジーンとした。また来てほしい。コツコツと努力していれば、誰かが見ていてくれるものだ。とてもうれしかった。うれしいから、今から1人でパーティだ。今夜は尿器を蹴飛ばさないようにしよう……。
7月15日 金曜日
外でラジオを聞いていたら、茨城県のある老人ホームでケアワーカーしているという人がインタビューされていた。やっぱり夜勤があるらしく、「夜勤するたびに、入所者たちとの心の距離が縮まるようです」と言っていた。夜勤は2人でやっているようで、お互いに信頼感が生まれる……という。俺だけの感じ方かも知れないけど、職員同士は信頼し合っているのかも知れないけど、俺たちと職員の心の距離って、はたして本当に縮まっているんだろうか。フッと考えてしまった。老人も障害者も、職員たちも、同じ人間だもの……。
7月14日 木曜日
去年、知り合った朝日新聞の記者にメールで展覧会のことを知らせたのだが、何の応答もない。職員に隠れて、2人で「米のジュース」を飲もうと約束したのに……。あれはウソだったのね。ひどい人だわ。今度会ったら、ケツの穴に指を突っ込んであげるわよ。……ということを言っているから、コロッと忘れていたことがある。あさって、またシンガーソングライターが来てくれるようだ。楽しみだ。それとなく展覧会のことをメールしてしまった。だがしかし、いつになったら作品が完成するんだろう？
7月13日 水曜日
早く梅雨明けしてほしいものだ。カッとした暑さが、俺は好きだな。作品作りに決着つけて、日なたぼっこしたい。このごろの夏の日差しって弱く感じるのは、俺だけ？
人を感動させるのは大変なことだ。人を動かすのは、その人にハートがあるかどうかだと思う。はたして俺には、人を動かせるほどのハートがあるんだろうか。
7月12日 火曜日
フッと思い出したことがある。まだ立って歩けた頃、普通のバスを使って遊び歩いていたのだが、わざと込み合う時間帯を狙ってバスに乗り込んだものだった。しかも、女子高生が多く乗り込んで来る時間帯。乗り込んでも座る座席がないことをわかっていながら、わざと乗り込んで、バスが走り出して揺れるたびに、四方にいる女子高生たちの体にタッチしていたっけ。これって、一歩間違えば犯罪になったのかも。障害をうまく利用した、まさしく紙一重な快感だった。アホらしくも、楽しい過去だった。
7月11日 月曜日
昨夜は、同室の奴の「うめき声」で何度も目が覚めた。どうせ聞くんなら、女のあえぎ声を聞かせて、モッコリさせてほしいな。そのせいで、午前中いっぱいは眠かった。午後になってから、ようやく眠気も取れて、ニュートンを読みあさった。再び色紙が届くまで、練習してろだって。案内状も印刷するだけになっているから。作品を仕上げることに、早く決着つけたい。
7月10日 日曜日
きのうのことを思い出したら、急におかしくなってしまい、部屋で笑い転げていた。職員たちに見られてしまった。アホだと思われたかも。きのうといえば、実家で親父の23回忌をやったようだ。すっかり忘れていた。今から写真に向かって手を合わせるつもりだ。月日がたつのは早いものだと、つくづく思う。
7月9日 土曜日
全作品が完成した、と喜んでいたら……とんでもなかった。ハデ過ぎるようだ。もう1度、やり直し。2時間もかけてやってくれた職員に、どう言えばいいんだろう？ 一気に疲れが出てきた感じがする。誰だよ、「折り紙を貼ったらいい」とかぬかした奴は。その言葉を真に受けた俺って、いったい……。また「頭悪いんじゃないの？」になってしまった。
7月8日 金曜日
昨夜の夜勤の職員に、書き終えた色紙に何かのシルットを貼ってくれと頼んだら、とてもきれいに貼ってくれた。2時間もかけてやってくれたという。感動してしまった。とてもうれしかった。やってくれた職員にはお礼のつもりで、ココアをごちそうしてやった。何年かたったら、いい思い出になる。たとえ俺が死んでも、この作品たちは残る……だろうと思う。それでいいんだよ、うん……と、自分に言い聞かせている俺って、いったい……。もう一つの詩を、プラスしてしまった。
7月7日 木曜日
一応、全作品、書き終えた。あとは、ちょっと華やかにしてもらって、ハンコを押してもらって、額に入れてもらったら……立派に見えるだろうか。
七夕の願い事に、「金と女」と書けるのは俺ぐらいだろう。はたして願いは叶うだろうか。今ごろ天の川では、イチャイチャのラブラブしているんだろうよ。俺には、いつ訪れるんだろう？
7月6日 水曜日
いろんな色の和紙をプレゼントされた。ありがたい。「何度でも」という詩には、矢吹丈のシルエットを貼り付けてほしいのだが……。今さらながら、本当は「ありがとう」の詩には、アリのシルエットを10個、貼りたかったのだが……。そういうユーモアがあってもいいんじゃないかと……。
自販機でブラックコーヒーを買おうとしたら、誰かが忘れて置いて行った30円のつり銭が残っていた。誰も見てないことをいいことに、そのつり銭を使って、コーヒーを買ってしまった。ちょっとしたラッキーだった。
7月5日 火曜日
「何やってんの。イカさんらしくない。よけいなこと考えてるから書けないんでしょ」というメールがあった。喝を入れられたようだ。気合いが入った。邪心を捨てて、無念無想で、色紙を無駄にせず、一気に2編も書き上げた。たとえ職員に、ちょっかいを出されても……。気合いが入ると、ペンの先にも力が入るようだ。作品ができてないというのに、もう宣伝している俺って、いったい……。残り、あと2編。
7月4日 月曜日
なかなかうまく書けなくて、今日だけで何枚も色紙を無駄にしてしまった。1枚、200円もするのに。この上、あと5編も出せだと？ それは俺に死ねと言っているような感じだ。酒と色紙を持って来てくれれば、やってもいいけど……。その色紙代って、誰かが出してくれるんだろうか。俺の背後には、黒幕なんかいないからな。やっぱり自分で出すしかなさそうだ。
7月3日 日曜日
「チカチカマシーン・ブラック1号」がスクラップ状態で、カビだらけになっていて、外に放置されていた。なんだか、将来の自分を見たような気がして、実に哀れだった。手でカビを払おうとしたのだが、こびり付いていて取れなかった。長い間、世話になったな……そう思いながら、手を合わせた。特殊なマシーンだったから、ちょっとさびしいものがある。
7月2日 土曜日
昨夜も「米のジュース」を飲んだ。昔話しに浸ろうと思っていたが、何の反応もない。かってのクラスメートだぞ。寮に入っていて、同じ部屋だったんだぞ。もう少し何かあってもいいじゃねぇか……と思うのは、やっぱり甘いのかな？ こんなものか、人のつながりって。切ないものだ。
2005年7月1日 金曜日
今朝、目が覚めると、なぜか右目が開かない。指で無理にこじ開けたのだが、まばたきすると、また開かなくなってしまう。トイレに行って用を足し、手洗い場の鏡を見ると、両目の周りが真っ赤。たまに出る、この症状って、いったい……。ちょっと痛い。
同級生だった奴が入所して来た。暗くなったのか、話しかけても応答なし。「ウルトラマンごっこ」をやって遊んだ俺を、忘れちゃったのかな？、